JR可部線の勝手踏切
今年の4月10日、JR可部線の梅林駅~七軒茶屋駅間の「勝手踏切」で、
広島方面行の普通列車に男性がはねられ、お亡くなりになられました。
私は、このような痛ましい事故から地域の安全を守るため、生活に密接
に関わる勝手踏切の在り方について考えているところです。
現場は、県道八木緑井線の佐東交番緑前から阿武山側へ里道を進み、
JR可部線と交差する箇所です。
◆JR西日本㈱作成
この箇所には、古くから里道がJR可部線と交差する形で通っており、
踏切形状とはなっていませんが、近隣にお住まいの方は、日常的に
生活道として通行されています。
死亡事故を受け、現在、JR西日本㈱が主体となり、広島市と連携しなが
ら踏切封鎖に向けた地元の合意形成を図る過程にあると聞いていますが、
長い年月、慣例的に生活道路として使用されてきた里道を廃止し、勝手
踏切を封鎖することは容易ではありません。
地域住民には、二度とこのような事故が起こってほしくないとの思いか
ら、勝手踏切封鎖を強く願う方もおられる一方、勝手踏切が封鎖される
と、利便性が低下する方もいらっしゃいます。
◆歩行調査
そこで、この踏切を封鎖した場合、影響が大きいと思われる緑井八丁目
のある地点★から、「勝手踏切」を渡る場合と、迂回路となる約120m
可部側にある正規の踏切「七軒茶屋第4踏切」を渡り、県道八木緑井線の
バス停「上緑井」まで私は実際に歩き、歩行時間を比べてみました。
◆赤の軌跡:「勝手踏切」※を渡り、「上緑井」(上り・下り)バス停へ
向かう
※実際は渡っていません。渡るのに要する時間を仮想で加算しています。
◆緑の軌跡:「七軒茶屋第4踏切」を渡り「上緑井」(上り・下り)バス
停へ向かう
緑井八丁目10番南西辺りの★をスタートしました。
まずは、赤の軌跡、「勝手踏切」※を渡り、「上緑井」上り方面のバス
停に向かいます。
※実際は渡っていません。渡るのに要する時間を仮想で加算しています。
勝手踏切を渡るには、段差が大きく、バラスト(砂利、砕石)やレールに
より足元の悪い軌道を越えなければならないことに加え、視界も悪く、大
変危険です(歩行調査では、法に抵触する恐れがある勝手踏切は渡ってい
ません)。
また、県道八木緑井線を渡るには横断歩道がなく注意が必要です。横断歩
道が設置されれば歩行者の安全性が高まりますが、既存の横断歩道との離
隔が基準に合致しないため設置は困難だと思われます。
次に、緑の軌跡、「勝手踏切」が封鎖された場合の迂回路となる「七軒茶
屋第4踏切」を渡り、「上緑井」上り方面のバス停に向かいました。
「七軒茶屋第4踏切」は、自動遮断機が設置された、いわゆる第1種踏切で
あるため、比較的安全に渡ることができます。
「上緑井」上り方面のバス停に向かうには、「七軒茶屋第4踏切」から県道
八木緑井線を渡る必要がありますが、ここにも横断歩道がなく、歩行者の横
断が法的に優先される状況にはありません。
ただし、この場所には、既存の横断歩道との離隔が基準に合致するので、横断
歩道の設置ができると思われます。
「上緑井」上り方面のバス停に到着しました。
迂回路ルートでは、歩行距離が延び、所要時間は2分53秒⇒3分36秒と
43秒延長しました。
同様に、下り方面バス停に向けたルートも歩いてみました。
こちらは逆に、歩行距離が短くなり、所要時間は2分55秒→2分24秒と31秒
短縮されました。
◆所要時間の比較
今回、このように定量的な検証を行ってみましたが、スタート地点や目的地
によってケースバイケースな結果になろうかと思います。
◆踏切安全対策案
今回、歩行調査を実施して、下り方面では、第4踏切を渡ったほうが、時間
が短縮になることがわかりました。
そこで、上り方面のバス停には、「七軒茶屋第4踏切」を経由し、県道八木
緑井線を渡る必要がありますが、ここに横断歩道を設置することで、①自動
遮断機のある第1種踏切を渡ること、②新しく設置される横断歩道を渡ること
により、二重の安全を確保することができると考えます。
横断歩道の設置に向けては、地域住民の皆さまのご意見を伺った後、安佐南
区役所経由で、広島県公安委員会へ要望したいと考えています。
10月には、同じくJR可部線の下祇園駅~古市橋駅間の「勝手踏切」で、可部
方面行の普通列車に男性がはねられ、お亡くなりになりました。
昨今、電車や軌道の機能が向上し、走行音も抑制されてきたことを踏まえる
と、踏切ではない箇所を渡ることは、横断者が注意するしか術がなく、命に
関わる非常に危険なことです。JR可部線で死亡事故が続発した問題について、
先の新聞では、JR西日本(株)広島支社長が、「勝手踏切」封鎖に向けて、
地元と調整するとの考えを示されています。
「勝手踏切」は、JR可部線沿線の地域の有する大きな地域課題だと考えてい
ます。
私は、関係する町内会長の一人として、JR西日本㈱や広島市と緊密に連携し
ながら、この課題に向き合い、解決に努めていきたいと考えています。
2024/11/19